あの頃

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

あの頃

学校から帰宅し、母親に話かけると、今までと、違う口調に、違う反応。 母がとても怖い顔で、私を睨み、 馬乗りになり、私の首を掴み始めた。 私は必死に泣き叫び手足をバタバタさせた。 どれくらいだったのだろうか。。。 私は子供ながらに、何故?という 疑問を持ち始めた。中学生になった頃、 母親の奇妙な行動が増え始めた。 ある夜の事下からゴンゴンと大きな音が聞こえた。 下に降りて行くと、父が母を押さつけていたのだ。 トイレの壁に何度も頭を打ち付けるのをやめず、 大きな声で泣き叫ぶ母。母が私の顔を見るなり、 母「あんたなんか、産みたくて 産んだんじゃないんだからね!」 いきなり言われた言葉。 次の日、母を病院に連れて行った。 そこは普通の病院とは違って、窓には 頑丈な鉄策が設置してあり。 院内に続く扉も重そうなドア。 私は病院の雰囲気にゾッとした。 母は診察しているうちに、 興奮し、泣き暴れ出した。 母は頑丈な扉の奥に連れて行かれた。 その後祖父母の家に行った時、、、 初めて母の病気を知った。 母とは病院の待合室でしか出来ない面会。 重い扉の中に笑顔で手を振り戻って行く母の姿。 私は車の中で思い切り泣いた。 高校生になっても、母の入退院は続いた。 家族で話し、母の病院を変えることにした。 入院のない、病院を探した。 季節により、酷くなったり、 落ち着いたりを繰り返す母。 時は過ぎて行き、恋人が出来た私は、 家族と初めて離れ遠くで暮らすことを決めた。 引っ越しの前の夕飯 は 私が大好きなグラタンだった。 そのグラタンは涙でしょっぱい味がした。 離れて暮らして居ると母が 今までしていたことを、自分が やるようになり母の大変さ、有り難みを感じた。 その後、私は当時付き合った彼と結婚した。 今は一緒に暮らしている。母の症状はと言うと 日に日に良くなってきいる気がする。 この間、ふと昔のアルバムを見たくなり、 探してた時、その中に母の日記を見つけた。 そこには、私の生まれた時間や、 泣いて大変だった事、ミルクをあげた回数、 風邪をひいた事など書いてあった。 あの時は本当にどうしたらいいの!と思ったけど 少しずつ乗り越えていけた気がする。 病気を持ちながらも、 私を産んでくれた母、素直に伝えるのは無理だけど感謝してるよ。これから先もよろしくね。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!