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 脩は近づきながらも、ついつい秋良の背後に視線を向けてしまう。やはり勘違いなどではなく、白いモヤが秋良の背後にあった。  秋良と近くで対面したところで、その顔に見覚えがないことに変わりない。  脩は親族にのみ白いモヤが見えていたので、血縁者に現れるものだと思っていた。この新人も実は血縁者なのではないかと、不安が湧き上がってくる。 「先輩!ご指導のほど、よろしくお願いします」  脩の不安を他所に、愛想のいい笑顔を浮かべた秋良は勢いよく頭を下げてくる。 「よ、よろしく‥‥‥」  脩も若干押されつつ、言葉を返す。  さっきと同様に、いたる所から小さな笑いが起こってしまう。 「おいおい。先輩になるんだがらもっとシャキッとしろよ」  目の前で事の成り行きを見守っていた脩の先輩である真壁が苦笑いし、茶々を入れてくる。  余計に注目を浴びた事に脩は頬が熱くなり、思わず視線を下に向けた。 「あぁーもー、ごめんよ」  真壁が困ったような笑みを浮かべ立ち上がると、脩の肩を抱く。 「こいつ、仕事は出来るんだけどさ、ちょっと大人しいから。ごめんな」  明るい声で真壁は、秋良に弁解している。大人しいわけではなく、真壁が騒々しいだけだと脩は心の中で反論した。  体育会系のような雰囲気の真壁は、精悍な顔立ちで体つきも良い。仕事も出来るし性格もさっぱりしていて、良い先輩ではある。それでも脩はこのノリには、付いていくことが出来ないでいた。
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