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「こんな美人な先輩の下に付けるなんて光栄です」 「‥‥‥はぁ?」  脩は思わずぽかんと口を開けて、秋良を見つめる。 「ははっ、確かにな。てかお前、面白いな」  真壁が秋良に笑いかけている。呆然としている脩を尻目に、秋良は入社して早々、真壁との距離を縮めたように思えた。 「まぁ、今回は俺じゃなくて世良にお鉢が回ったわけだから。しっかりやれよ」 「はぁ‥‥‥」  真壁に抱かれた肩を揺さぶられ、脩は気の無い返事をする。 「困ったことがあったら、誰にでもすぐ聞いて良いからな」  真壁は笑顔でそう言い残すと、自分の席へと戻って行く。 「‥‥‥じゃあ、とりあえず仕事の流れから説明するから」  白いモヤの事は一先ず置いておこうと、脩は心の中で溜息を吐く。今はとにかく、好奇心に満ちた目で自分を見つめる秋良に、仕事を教えなければならない。 「はい!世良先輩。よろしくお願いします」  ひょこりと頭を下げる秋良に、思わず苦笑いが溢れてしまう。  脩にとって初めての後輩が、自分とは正反対な性格なようだ。明るく、好奇心に満ち溢れていて眩しい。  一方自分は、取引先とは上手くやれているはずだった。笑顔だって作れるし、会話もちゃんと出来る。けれども、プライベートになると、途端に引け目を感じてしまう。  母親の恵美子の発言を思い出しては言葉を詰まらせ、体が強張ってしまうのだ。  隣同士の席に座った秋良に、脩は簡単な業務説明と仕事の流れを説明していく。  さっきとは打って変わって、秋良は口も挟まずひたすらメモを取ったり、真剣な眼差しで脩を見つめていた。その姿には、脩も感心せざるを得なかった。
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