輪廻

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 僕は、この繰り返しを終わりにしたい。  ここで疑問に思う。僕の父や、祖父も同じように繰り返しを嫌悪しただろうか、彼らが積み重ねてきた伝統は、僕が信じてきた伝統は、本当にこの繰り返しを破壊する試みに対して貢献しているだろうか。  そして気づく。彼らは、この繰り返しを守ってきたのではないだろうか。それが自分のためか、彼らのためか、もしくは僕でも彼らでもないどこか外にいる誰かの娯楽のためかはわからない。しかし、父や祖父が僕に期待しているのは、彼らに対して勝利を収めることではなく、父や祖父同様に僕も敗北し続けてこの伝統を息子や孫に伝えることではないだろうか。  そんなことは許さない。僕は僕の子も孫もこのサイクルには巻き込みたくない。出来れば、僕も戦いからも敗北からも遠く離れて幸せに暮らしたい。  僕は準備を始める。伝統を捨てる。美学を捨てる。勝利に飢える。瞳が濁る。巨大ロボも、派手な光と音を発する武器も必要ない。必要なのは、彼らに関するあらゆる情報と、いくつかのブービートラップと、最低限の体術。  戦いの時間はすぐにやってくる。初めて感じる、待ち遠しいという感覚。僕は、初めて伝統から離れて自分の意思で作戦を立て、武器を作り、舞台を整える。
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