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そうして夕食後。
職場の同僚たちに訊いて(結果的に)「食べる」という選択肢を得たので、昨日のコタツから出てきたミカンを食べることにした。一つを手に取ってみる。指先で回してまじまじと見るが、至って普通の、腐ってるとかそんな異常は見当たらない。強いて言えばコタツから出てきた時点に触ったときの温かさは消えて、冬季の常温に晒されて冷えている。温かかったのはコタツから出されたからだろうか。しかし、そこを考えるとこのミカンの出所までも考えてしまいそうになるのでこれ以上の詮索はやめておく。それはさておき、ミカンをむいてみる。中は綺麗な房が並び、甘そうな色をしていた。鼻を近づけて匂いを嗅いでみる。
うん、大丈夫そうだ。
その一房を口の中に放る。
「……あまっ」
思わず声に出してしまった。
それくらい甘い果汁だった。
香りとこの甘さは温州ミカンだろうか。とてもおいしい。あっと言う間に食べてしまった。
も、もう一個だけ食べようかな……。
迷いながらもミカンを手に取る。
今日はこれだけ食べて、残りはまた明日からの楽しみにしよう。
そう決めて、二個目のミカンをむいた。
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