こたつねこ。

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「あっ」  止める間もなく、瞬間的に猫が男の人の足に噛み付いた。 「いっ……!」  短く叫んで男の人は動きを止める。 「な、なに……」  男の人が何事かと猫を見る。  猫は噛み付いて離れない。 「う、動くなってこと?」  猫は噛み付いて離れない。 「ここに居ろってこと?」  男の人が座り直すと、猫は口を放した。 「…………」 「…………」  えぇー……、もう、なに? どういうこと?  ワケがわかんないんだけど……。  ……………………。  い、いたたまれない……っ。  どうしてこうなった……?  なんでこんなことに……。  ……あ。  原因、私だわ。  気付いて今度は男の人に対して申し訳ない気持ちになった。  私が呟かなければこの人は(コタツから)引きずり出されることなかったんだよね……。  そろり、と男の人を見る。  顔を伏せて視線を下に落とし、正座をして大人しく座っている。  そんな姿を見たら更にいたたまれなくなった。  ……ええい。  現状打破っ。 「……あ、あの……」
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