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「えっ?」
予期せぬ言葉に驚いて、私も画面を見つめた。
二階建てのアパート。
その建物が、炎に包まれている様子が映し出されている。既にいくつかの窓から炎が出ていて、火の回りが早いことがうかがえた。
「うそだろ……」
脱力したのか、小塚さんはそのまま崩れるように座り込んでしまった。
画面の中のアパートは、消防がまだ来ないのか、燃えさかるばかりだ。その様子を映す画面を見据えたまま、小塚さんは動かなかった――というより動けないようだった。
「こ――小塚さん」
私は立ち上がって小塚さんの側まで行き、その肩に手を置いて軽く揺すった。
「小塚さん、行きましょう」
「え?」
「西区ならここから自転車で行けます」
私は小塚さんの腕を引っ張って立ち上がらせた。
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