0人が本棚に入れています
本棚に追加
と。
急に猫が動いた。
私の膝から飛び降りて、コタツの中に潜り込んだ。
「えっ、ちょっ」
急に何?
って言うか、コタツの中って危ないんじゃ!?
慌ててコタツ布団をめくり上げようとして──
その手を止めた。
勢いよく開けたら逆に驚かせちゃうかも……?
それで暴れて怪我をされたら本末転倒だ。
よし、ゆっくりめくり上げよう。
そう思ってそろりそろりとコタツ布団を上げていくと。
猫が出てきた。
ケツから。
……なに、してるんだろう。
私はコタツ布団を上げる手を止めて猫の様子を眺めた。
猫はケツをふりふり少しずつコタツから出てくる。
うん? なにか引っ張り出そうとしている?
猫の頭の部分が盛り上がっているのは物理的に分かる。が、それに続いて大きな盛り上がりが徐々に出来つつある。それが異様な大きさだったので、気になってそのままコタツ布団を引き上げた。
「えっ」
不思議なことが起きていた。
猫が引っ張り出そうとしていたのは、ミカンが入っているカゴ。
その、カゴの縁を噛み咥えて、猫は賢明に引っ張っていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!