第 3話 ある独白

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 戦後の話は整合性はとれている、すべて本当の話だろう、問題は終戦前のパートだ。軍の命令でイタチだかカワウソだかの小動物を中国地方の山奥まで捕まえに行って、それを葛籠に入れて持ち帰る途中に広島と長崎で原爆にあっている。実際、終戦間際 軍部はかなりトチ狂っていたみたいだから原爆投下が単なる偶然だとしたら、まったくあり得ない話でもないように思えるのだが。  ただ、そうして祖父の話を本当だとすると終戦時20歳くらいとして祖父は現在115歳くらいになってしまう、やはり信じられない。  そもそも悪化した戦局を打破するべく投入された最終兵器が人智を超える力で敵はそれを阻止すべく新型兵器でこれを迎え撃つ。これじゃぁオカルト大戦争だ。そんな話都市伝説でも聞いたことがない。  考えられる可能性として、この話は以前 祖父が小説だか映画だかで見た話なのではないのだろうか、それが何らかの形で実際の記憶に混線してしまっている、そう考えるのが一番妥当に思える。だいたい100歳を越えてまったく正常な思考と記憶を保てる方が異常なのだ。  ただこれを 本当に年寄りの世迷言や妄言として切って捨ててしまってよいのだろうか、祖父はこれを罪だと言ったのだ。 「 でじゃ 月夜 話というのはな 」  えっ、ちょっとたんま、話は終わったでしょ。なんで今までの話は前フリでここからが本番みたいな事になってんの、意味がわからないよおじいちゃん、もうやめようよ、聞きたくないんだから。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い     
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