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第 4話 百目奇譚
祖父が死んだ、老衰ということだ。臨終にこそ立ち会えなかったが、苦しみもなく眠るように訪れた安らかな最期だったらしい。
本当にそうだったのだろうか、私にあんな告白をしておきながら、もしそうだったのなら それはずるいと思う。
あれはいったい何だったんだろうか、虚言妄言戯言世迷言、昔話法螺話作り話お伽話、祖父は私にいったい何の話をしたのだろう、あれは本当にベッドに横たわった枯れ果てた老人から発された声だったのか、ベッドの下に何か違うものが隠れており、それが祖父のふりをして喋っていたのではあるまいか。
葬儀はしめやかに取り行われ … はしなかった。それはそうだ、大企業トリオイ薬品の創業者であり会長の鳥迫秀一の葬儀なのだ。参列者は角界の著名人や政治家と言ったテレビなどで見知った顔がずらりと並んだ。
喪主は当然 鳥迫秀一のただ1人の血縁者である私、鳥迫月夜がやらねばならぬ、祖父の個人秘書で鳥迫家の運転手でもある車田さんのテキパキとした指示のもとに 私はただただゼンマイ人形のように立ち振る舞えれば良かったんだが、そんなに上手くいくはずない。
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