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「もう一つは…シェス君の過去だ」
言われて気づく。ウローラは三人の表情が変わったことを確認して話しを続ける。
「どうやらこれは上層部での機密事項らしくてな。私もファルグ中佐から聞かされるまで知らなかった」
キラウェールたちは同時にローヴィを見る。しかし、ローヴィは下を向いたままだった。
「…そんなこと一兵卒のアタシ達に言っていいの?もしばらしたら罪に問われるのはか…副艦長なのよ?」
「私は罪に問われても構わん。だが、君たちには地球軍の実態を知っておいてもらおうと思ってな。勿論、聞きたくないのならばここで退室してもらっても構わん」
ウローラの眼は真剣だった。
「…いいわ。機密事項なのに教えるほどの覚悟が副艦長にあるのなら聞いてあげる」
「…そうですね。自分も同じ意見です。元々地球軍の実態には興味がありましたし」
「私もここまで話されて引き下がるわけにはいきません。それにシェス君が軍にいることに疑問がありますし…」
ウローラはこの意見を静かに、鋭い眼光でそれぞれの眼を見ながら聞き、頷いた。
「…では話そう。まずはSPについてだ。これはリライン少尉なら知っているが、総スペックがアウラーより完全に劣っている」
これにキャニーは頷いたが、バディとキラウェールは「は?」と聞き返した。
「バール副艦長…SPは試作機ですよね?それなのに量産機のアウラーより劣っているとは?」
「耐久性に関しては装甲素材が違うため比べられないが、スラスター、ジェネレーター出力が完全に劣っている。これが証拠だ」
ウローラは電子タブレットをキラウェールに渡す。記された数値は確かにスラスター出力とジェネレーター出力が劣っていた。
「だからあの時遅かった訳か…」
「あの時って?」
バディの呟きをキラウェールが拾う。
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