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『ガーデン機の発進を確認!SP、リニアカタパルトへ!』
「了解、移動しますッス」
レヴニカの指示にシェスは従い、操縦桿を動かす。だが操縦桿は鉛のように重く、機体の反応も遅かった。
「…っ!こんなにも重いのか…!」
シェスはぼやくも、何とか機体をリニアカタパルトまで移動させた。
「シェス・ラックス、SP、出ます!」
ペダルを強く踏み、スラスターを全力で噴かせる。しかし、機体はすぐに動き出さずに
ノロノロと加速し始めた。もはやリニアカタパルトの意味もなくなっており、機体がカタパルトのレールから離れた時の速度は通常時の三分の一ほどであった。
降下ポイントまではほぼ直進するだけ。地球は自転しているため、少しの修正は必要である。だが、追加アーマーにはバーニアなど装備されておらず、微調整ですら難しい。
『おっせーなー。とっとと行けってんだよ』
ケルーがくちゃくちゃとわざとらしく音を鳴らしながらガムを噛み、急かしてくる。
「これでも全力なんスよ…このアーマー、重すぎるんス…」
そう言いながらも、シェスは調整のために必死になっている。
キラウェール達四人は限界点ギリギリまでシェスを囲み援護する陣形であった。
しかし、ケルーが愚痴を言うのも無理はない。地球の重力に引かれているというのに、通常の三分の一ほどの速度で移動しているのだ。するとトフィアが到達時刻を伝えてきた。
『目標ポイントまで約三分…まあキレカ少尉、気長に待ちましょう』
『そうね。男は待つことも大切よ?バズーカちゃん』
その時シェスは疑問に思った。いつもなら注意するはずのバディがやけに静かなことに。シェスが言葉をかけようとした、その時だった。
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