第二章:孤独

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「あ、そうだアンタは…」 「アンタじゃなくてあなた、な?一応中佐だぜ?俺」  階級を聞いてシェスはたじろぐ。そこで男は自己紹介をした。 「俺はレイアン。レイアン・ダリル中佐だ。一応隊長やってる」  手が差し出され、シェスはその手を握りながら自分も自己紹介をした。 「シェス・ラックス少尉ッス。で、弟の…」 「ディイスだろ?後ろにいるぜ」  レイアンが手を離し、後ろを指差す。そこには先程の注意した声の主であるディイスが立っていた。 「ディイス!」  見つけた瞬間、シェスは思わず声を上げて駆け寄った。ディイスも人の群れの中から出てきて歩み寄ってきたが 「兄さん、上官相手にあの態度はダメでしょ…」  近づいた瞬間に、ディイスが耳打ちをする。 「仕方ないだろ、そんな人だとは知らなかったんだからよ…」  シェスも顔が離れる寸前で耳打ちをする。そのままディイスの顔を見ると呆れた顔をしていた。 「再会のやり取りは終わったか?シェスにはここの司令と会ってもらわなきゃいけないんだがよ」 「あ、はい」  ディイスは手を離し、横にずれて道を開けた。 「こっちだ。ついてきな」  レイアンがシェスを案内するために前を歩き始めた。囲んでいる兵士たちも左右に分かれ道を作る。 シェスは言われた通り、レイアンの後をついていくことにした。
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