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「では一度戻れと?」
アテンダーの格納庫でエームはあの男と通信をしていた。内容は男が身を潜めている暗礁空域へ戻れといったものだった。
『ああ。お前には地球に降りてもらう。その為に機体を重力下でも活動できるよう改修を加える』
エームの考えている通りだった。シェスを撃ち損ねた事で、自分も地球に降ろされると考えていたのである。だが、一つだけ予想とは異なった。男が怒るわけでも、呆れるわけでも無く、いつもの態度なのである。これが異常に不気味だった。そして男はさらに意味が分からない指示を出してきた。
『お前にはシェス・ラックスをこちら側に引き込んでもらう。改修もあくまでその為のものだ』
「ま、待って下さい。引き込むとはどういうことでしょうか?」
エームは思わず口を挟んだ。
『そのままの意味だ。シェス・ラックスをこちら側に引き込んでもらう』
男は言いきる。それでもエームは理由を聞く。
「何故です?今までは消せと言っておられたではありませんか」
『お前が知る必要は無い』
エームは返す言葉を探したが、その前に男が一方的に指示を出す。
『とにかく一度戻れ。引き込む方法はそこで説明する』
通信は切られた。エームは男の真意が全く分からなかった。
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