第二章:孤独

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 シェスが顔を上げると、電子タブレットを返せと言わんばかりにリムが手を伸ばしていた。電子タブレットを返すとリムは話を続けた。 「少尉は地上戦の経験は皆無に等しい。幸い我が基地に宇宙軍の侵攻はまだ確認されていない。そこでダリル中佐から地上戦のノウハウを受けてもらう。特に[グラウンドシューター]を扱えるようになってくれなければ、ビーストマシンに対抗するのは難しいだろう」 「…グラウンドシューター?」 「その辺は俺が説明しますよ、パオガン司令」  出口付近で立っていたレイアンが会話に入ってくる。 「実物を見たことのない奴に説明するのは面倒でしょうし、あれは耳で聞くよりも、実際に使ってみないと分かんないと思いますから」 「…そうだな。ここから先はダリル中佐に任せる。パイロットによっては相性が悪いと言う者もいるが、新型に乗っている以上、言い訳は許されないからな」  最後はほぼ脅しであるが、シェスは「了解ッス」と答えた。 「うし。そんじゃグラウンドシューターの事とか、地上戦の事とか教えてやるからついてきな、シェス」  レイアンが退出を促す。レイアンは退出の言葉も無しに言ってきたため、シェスは少し動揺する。 だが、シェスが一瞬振り向いた隙に、リムも反転していた。そこでシェスはとりあえず「失礼しますッス」と言い残しレイアンに続いた。
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