第二章:孤独

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  シェスがシミュレーション機に座ると、レイアンがグラウンドシューターの使用方法を簡単な説明をした。 「…で、バランスは完全にセンスの問題だな。どうだ?出来そうか?」  基本操作は変わらないようなので、シェスは出来そうだと判断する。 「多分やれると思うッスよ」 「お、なかなか強気だな。んじゃ一回やってみな」  レイアンはシミュレーション機のハッチを閉める。それと同時にシェスはシミュレーションを訓練モードに切り替え、操縦桿を握る。  機体はロウラー、グラウンドシューターの設定は標準。ディイスの話ではグラウンドシューターの設定は個人で変えるらしいが、初めてなので標準で使ってみることにする。 場所はEⅧの滑走路からだった。目標は約一キロ離れたポイント。  そこまでグラウンドシューターだけを使い移動する。シェスは少しだけペダルを踏んでみる。するとグラウンドシューターに火が灯り、徐々に機体が加速を始める。特に問題は無い為、シェスはペダルを強く踏み込んだ。その瞬間、突然グラウンドシューターが勢いよく火を噴き、滑りだしたのである。 「うおっ!?」  シェスは操縦桿を動かし、機体のバランスを整えようとするが間に合わず、背中から滑りこけてしまった。直後、ハッチが開きシミュレーションは一時停止される。 「ま、こうなるわな」  開けたのはレイアンだった。シミュレーションの映像が青い空を映し出してることから、全てを察したようであった。 「グラウンドシューターあるある、最初は滑りこけるだよ」 「…あるあるなんスか」  シェスは呆気に取られるように言う。そこでレイアンが笑いながら説明した。 「グラウンドシューターは噴かせる前に、機体を前にかがませないと足だけが一人で暴走しちまうんだよ。これ、一度味わっておいた方が良いと思って、あえて言わなかったんだよな」 「大丈夫、兄さん。皆最初はこうなるから」  ディイスが付け足した。シェスは腑に落ちないが、レイアンの説明を何も言わず聞くことにする。
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