序章:眩い閃光

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 闇に包まれる宇宙に花が咲く。一つ、また一つと花が咲く。  いくつも咲き誇る花々は下手な打ち上げ花火とは比べ物にならないほど美しい光景である。しかし、この花が一つ咲くごとに命が散っている。命が散る時に咲かれる花は美しくあり、残酷なものであった。    この残酷な花は月面に造られた人工施設の周辺で咲き乱れていた。この施設は地球の国家が集結して設立された[地球統合軍]が宇宙に建設した基地で、ここを舞台に戦闘が行われていた。    この戦闘はガーベッジの住民を中心として設立された[宇宙統合軍]が攻め込んだことから始まった。現在の戦況は地球統合軍がほぼ壊滅状態で、撤退の準備をしている部隊もいるような状態だった。しかし、戦闘の開始直後は地球統合軍が上回っていた。    しかし、宇宙統合軍のファクターが全てを変えた。この新型ファクター[リーヴァス]は他のファクターを率いることもなく、単機で地球統合軍の大部隊を相手にしていた。リーヴァスは地球統合軍の量産型ファクター[ロウラー]の装甲を一瞬で溶かすほどの威力がある「レーザー兵器」を装備し、背面の大型のスラスターによって地球統合軍の実力者をもってしても捉えることができないほどの機動性を誇っていた。  戦艦を相手にしても、主砲やミサイルなどに被弾することなく、的確に艦橋だけを破壊していた。その性能はまさに圧倒的だった。    リーヴァスによって地球統合軍の部隊の約半数以上が撃破されていたが、元々ロウラーは約十年前に設計されたファクターであり、戦闘用では無かった。そのため、宇宙統合軍の量産型ファクター[ゼイ]に対して性能は大きく劣っていた。    月面基地は地球統合軍にとって宇宙での重要な拠点であるが故、地球統合軍の兵士たちは必死に防衛した。だが、やがて基地の司令塔や重要施設が制圧、破壊されたことから、地球統合軍は正式に撤退命令を発令した。
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