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と、メッセージアプリの通話機能の着信を告げる音が聞こえた。
ゴクリと唾を飲み込んで、恐る恐る通話を開始した。
そこから聞こえてきた松浦の声は、冗談だよというふざけたものでも、嫌悪感に満ちたものでもなく、ただただ慌てた様子だった。
「さっきの、なあ、さっきの何?」
「何って……。」
エイプリルフールだよ。
たったそれだけ言えばいいのにその言葉がどうしても言えない。
「エイプリルフールじゃないんだよな?」
何も返せない俺に松浦は
「俺も、エイプリルフールじゃないって言ったら細野お前信じるか?」
それは、とても真剣な声で。
「だって、あ、う゛~。」
言葉にならない声を何とか上げる。
「クソっ。なんで俺今日言うんだよな。馬鹿だよな。明日、細野のところ必ず行くから。だから、明日ちゃんと正直に気持ち伝えるからだから信じてよ。」
その声は切なくて、とても切なくて俺の心臓もギュッとつかまれたみたいになった。
「明日、やっぱり嘘でしたって言わねえ?」
「大丈夫、言わないから。」
「待ってる。」
怖くて。だって明日何お前本気にしたのっていわれるのが怖くて。
だけど、あいつの声は嘘をついてるとは思えなくて。
その日の夜はあまり眠れなかった。
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