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Monogon
ホスト仲間の帝斗のことが好きだった。
彼とは同期で入店した時からの大事な仲間、常に穏やかで誰にでも気遣いの出来る大人の男だ。
辛い時には空気のように傍にいてくれて、慰めの言葉が心に沁みる。
嬉しい時にはとことん一緒に盛り上がってくれる楽しい男で、いつの頃からか帝斗の傍にいることが心地良くて仕方なくなっていった。
帝斗が居てくれるだけでいい。
帝斗と共にいられるだけで幸せだ。
この気持ちが単なる友情ではないということに、薄々気が付いてもいた。
おそらくは恋慕の気持ちが混じっているのだろうことを自覚できてもいた。
それでもいいと思っていた。
同じ男としての憧れや、単に人としての尊敬の気持ちを抱きながら、彼の傍にいられる毎日に満足していた。それ以上、何を望むわけでもなかった。それは事実だった。
そう、『あの男』が奇妙なちょっかいを仕掛けてくるまでは――
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