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「欲しいか――?」
今までの強引さからは考えられないようなやさしさと甘さを伴ったような声でそう訊かれて、頬が染まった。それは突如湧き上がった予想だにしなかった気持ち――恋心にも似た、番狂わせともいえるくらいの衝撃的な感情だった。
揺れ動くそんな気持ちに戸惑う間もなく、ふと視線をやった先に、いつの間に外されたのか、緩められたベルトのバックルがぶらりと垂れ下がっているのがぼんやりと映り込む。半分くらいまで下ろされたジッパーを割り込み、尻の方からスッと手を入れられて、あっという間に下着の中にまで侵入した掌の感覚にビクリと腰が引けた。
「逃げるなよ――俺から……逃げないでくれ、紫月」
またもや甘やかな吐息交じりの声で耳元ギリギリにそう囁かれ、と同時に硬く熱を持った自身の雄を握り弄られて、思わず嬌声がこぼれてしまいそうになった。
「……っ、あ……」
「濡れてるぜ。分かるか? これ、お前ンだ」
「はっ……あ、よせ……このヘンタイ……が……っ」
「否定はしねえさ。ヘンタイで結構! 俺はずっと前からお前とこんなことをしたかったんだからな」
「……っずっと……って」
「ダチだの同僚だの、恋慕だの尊敬だの、お前が帝斗に抱いてる気持ちなんかとは比べ物になんねえくれえだぜ、多分。当然、いやらしいことも想像しまくったし、お前を想って一人でヌいたこともしょっちゅう……なんて暴露したら、やっぱ引くか?」
「……なに……言ってん……っあ、はっ……!」
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