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客を送り終えた帝斗が背後に近付いているとも想像出来ずに、本能のままに漏れ出した悩ましげな声が届いたとでもいうのだろうか。
夢中で焔に縋り付き、乱れる自らを驚き見つめる帝斗の存在に気づいた瞬間、濁流のように戻った現実に耐え切れず紫月は意識を手放した。
こんな不運をどうやって弁解出来るというのだろう?
真っ白になる視界に耐え切れず、自らを保つことも儘ならず。
まるで焔の腕に縋り付くようにどっさりと倒れ込んだのを、帝斗がどのような見解で受け取ったのかは定かではないにしろ――
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