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Triangle
ホスト仲間の帝斗のことが好きだった。
好きだったはずなのに――
もう一人の同僚の焔――、彼が差し出した突然の淫猥な誘いに乗せられ、信じられないような欲情にまみれて堕ちた。ほんの昨夜の出来事だ。
この男が灯した官能の火は、帝斗に抱いていた淡い想いを一撃で砕いてしまうほどに衝撃的で、自ら望んでこの男に乱されたいと、本気でそう思ってしまった。この男の腕の中で狂い、果て、満たされて――そして今、どういう経緯でか彼のベッドの中にいる。
この男と絡み合う場面を帝斗に見られたショックで意識を飛ばしてしまったのは、ほんの数時間前のことだ。
その後、気を失った自らを連れて自分の家へと戻ったのだろう。薄ぼんやりとした記憶の中で、この男が丁寧に介抱してくれていただろう感覚だけが全身に残っている。
大好きだぜ――
本気だぜ――
意識のないことを分かっていながら、そんな言葉を繰り返していた。何度も何度も頭の隅の方で同じその言葉を聞いたような気がする。
どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか分からない。実際のところ、この男は何をどうしたかったのか、それすらもはっきりとは理解しきれずにいる。
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