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『ホンモノの恋に落ちるとね、すごいのよ! もうね、自分の意志なんて関係なくて、一瞬でその人に引き込まれちゃうんだから。何ていうか……すべてを持ってかれちゃうって感じ』
それを聞いた時は女独特のメルヘンチックな戯言だと思っていた。内心、鼻先で笑ったこともしっかりと覚えている。まさかそれが現実に起こるだなどとは、思いもしなかった。
つい昨日までは意識さえしたことのなかった男のことで今は頭がいっぱいになっている。彼が言った一言一言が、頭の中で甘く低い独特の色香を伴った声で繰り返されてとまらない。
『お前が帝斗を好きなように、俺はお前が好きだから。お前が他のヤツのことばっか気に掛けるのを見てんのは限界だったから――』
『欲しいか――?』
『ヤろうぜ続き。もっともっとよくしてやる。もっと……めちゃめちゃに堕としてやるよ』
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