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「……それで、用件は？」
単刀直入に聞くと、宮野は少し悲しそうな顔をして目を伏せた。
「ああ、それ……それね。ああ、でも、やっぱりいいです。なんでもないです！」
「なんだよ、その煮えきらない態度。気になるだろ。言いたいことあるならはっきり言えよ」
思いがけない殊勝な態度に、俺はうっかり続きを促してしまった。だけど、直後にそれがこいつの思惑だったと気づいて心の中で舌打ちをする。
「えっ？ いいんですか？ それならお言葉に甘えて……」
さっきまでのしおらしい態度が一変し、満足そうに宮野はほくそ笑む。
「小豆澤さんのお家に行ってもいいですか？」
気味悪いほどの甘えた声でそう言うと、宮野は小動物のようにちょこんと首を傾げた。
「は？」
予想外の展開に、俺はとっさに返事ができなかった。
「だから、家に行きたいっていうお願いですよ！」
いや、言葉の意味は分かっている。だけど、言葉の理由が分からない。
「なんで？ 嫌に決まってるだろ？」
多分俺は今、自分でも引くくらいの嫌悪を顔に貼りつけている。だけど、宮野は柔らかな笑みを浮かべて諭すように呟いた。
「だって、その……明日でしょ？」
明日――、ああ、そうか。
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