青い春に、芽吹いた怪異。

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「それで、その怪談の場所は?」  やみくもに見回りをするよりも、怪談のでどころから探したほうが手っ取り早い。それに、情報を握っている人間が目の前にいるのだ。ここで聞かない手はないだろう。 「増えた噂は二つあるんです。……まず一つめは『プールを泳ぐ人食い鮫の怪』」  そう言って宮野は窓の外へ視線を移した。窓の外には屋外プールが見える。とはいえ、プール開きはまだまだ先で、今はただ藻が生い茂るばかりだ。 「プールって、そこの?」 「はい」 「そりゃ、アレだろ? 別に不思議でもなんでもない」 『プールを泳ぐ人食い鮫の怪』なら、めちゃくちゃ思い当たる節がある。俺はこの怪の真相を知っているし、なんなら関係者でもある。幽霊の正体見たり枯れ尾花って奴だ。 「確かに、真相を知ってる人間からすると、なんてことない怪ですよね。だって、霊でもなんでもないし。むしろ当たり前というか……だからこそ、もう一つの怪談が気になって――」 「その、もう一つってのは?」  宮野は視線を上げると、ジッと俺の目を見た。その瞳からは、どんな感情も読み取れない。 「それが……もう一つの怪談は『叫びながら校庭を走る銅像の怪』なんです」     
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