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ここまで聞いておいてなんだが、俺はそーゆー『視える人』って奴に懐疑的だ。本人に嘘をついている意識がなくても、思い込みや勘違い、あるいは病気なのではないかと思っている。そうした気持ちは自然と顔に出てしまうものだ。そんな俺の表情を見て、宮野は少し苦笑いを浮かべた。
「そうそう、そういう特殊体質な人。確かに、信じられない気持ちは分かりますけどね。でも、そういう体質の人って、それなりにいるみたいですよ。……この学園の中にも」
「もしかして、知ってるのか? その『視える人』って奴」
「ええ、もちろん。新聞部ですから!」
半信半疑な気持ちは拭えないが、宮野は嘘を言っているわけではなさそうだ。こいつは自分の情報に絶対の自信を持っているし、俺もその点に関しては信用している。だから、宮野がそう言い切るのなら、なにかしらの確証をつかんでいるのだろう。
「それで、その、『視える人』ってのは一体誰なんだ?」
そう尋ねると、宮野は値踏みするような視線で俺をジロジロと見つめた。
「教えるのは構いませんが、これはとっておきの情報ですからね。無料というわけには……」
「分かった、いくら欲しい?」
金が欲しいならくれてやる。それで光希に会えるなら安いものだ。
俺が尻ポケットから財布を出すと、宮野はあからさまに不快な顔をした。
「嫌だなぁ、小豆澤さん。私がお金儲けのために新聞部をやってるわけじゃないのは、よくよくご存知なはずでしょう? 報酬は情報ですよ、情報。等価交換です!」
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