青い春に、芽吹いた怪異。

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「……回りくどいぞ。なにが目的だ?」 「そうですねぇ……例えば……」  そう言って宮野は交換ノートに目配せをする。  なにが『立ち入っちゃいけないラインは理解しているつもり』だ。それらしい言葉をもっともらしく並べただけで、実際問題こいつは人の気持ちをまったく理解していない。――いや、違う。理解はしていても自分の好奇心に抗えないのだ。だから俺はこいつが嫌いだ。こいつはいつも俺の神経を逆なでする。――今も昔も変わらずに。 「結局なんだかんだ言って、お前は俺で好奇心を満たしたいだけじゃないか。いつか痛い目に遭って後悔すればいいんだ。俺はその日が来るのを心待ちにしているよ」  それは本心でもあり、余計なお節介でもある。きっと宮野はそう遠くないうちに好奇心で身を滅ぼすだろう。だけど、どんなに忠告しても意味はない。冷たいようだけど、自分で学ぶしかないのだ。 「むむむ……そんな言い方されるのは心外ですぅ。それにこれは、小豆澤さんにとっても悪くない話だと思いますけどね。まぁ残念ですけど、取引は不成立ってことで。でも、気が変わったら教えて下さいね! 待ってますから」  拗ねたように口を尖らせてそう言うと、宮野はくるりと背を向けた。     
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