日常を乱すもの。

6/19
前へ
/78ページ
次へ
「あ、もしかして! お前がプールに入れるようになったのも、あいつの仕業か?」 「うん。そろそろ暑くなってきたからね。プールに入れるように、マスが穴を掘ってくれたんだ。いいでしょ?」 「……まったく、沢木の奴。勝手なことばかりして。おかげでお前が、学校の怪談になっちまったじゃねーか」  昼間の宮野の話を思い出して、俺はため息をこぼした。『プールを泳ぐ人食い鮫の怪』というのは、プールに忍び込んで泳いでいたジェンツーで間違いない。水面に出ていた翼が、鮫のヒレのように見えたのだろう。 「僕ペンギンだよ? 階段じゃないよ」 「いや、その階段じゃなくて怪談な。怖い話っていうか、不思議な話っていうか……とにかく、みんながお前について興味を持ってるってこと」 「ええー。嫌だよ、そんなの。だって、興味って『研究したい』ってことでしょ? 僕は嫌だ。研究されたくない!」     
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加