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「……『今夜は』って言うか、昨日もベーコンだったし、一昨日も『ベーコン食べたい』って言ってたぞ?」
呆れた声で振り返ると、ジェンツーは柱の陰にこそっと姿を隠した。
どういうわけか、こいつは無類のベーコン好きだ。そのため、食事の時間になると必ず『ベーコン』という単語を口にする。野生のペンギンがなにを食べているのかは知らないが、おそらくベーコンは食べていないだろう。高いものではないから別に構わないけど、健康面で問題がないものか? と、密かに俺は心配していた。
「一度はっきり聞いておきたかったんだけど、お前ってベーコン食べても大丈夫なの?」
「え? なんで? 僕の大好物だよ、ベーコン。食べちゃダメなわけないじゃん」
ひょこっと柱から顔だけ出すと、ジェンツーは不思議そうな顔で俺を見た。
「いや、だってほら、野生のペンギンはベーコン食べないだろ?」
「そうだけど?」
どうやらペンギンに『健康』という概念はないらしい。それもそうか、毎日が生きるか死ぬかの瀬戸際の生物は健康なんて気にしてられないもんな。俺の質問の意図するところを、ジェンツーが理解的ないのもしょうがない。
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