不実

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電子体温計は三十八度五分と表示していた。 毛布を出して布団の上から掛けると、ウィンタースポーツ用の厚手の靴下を蓮に履かせた。 慶太郎はコンビニで、アイス枕とポカリとゼリーやおにぎりをを買ってきた。 「…俺のせいだな…ごめんな…」 そう申し訳なさそうに呟くと、蓮の?をそっと撫でた。 「慶太郎のせいじゃないよ。大丈夫、節々は痛くないから風邪だと思うし。後で、病院行ってくるよ。…ね、移ったら大変だからマスクして?」 熱のせいで瞳を潤ませて、上気した頬で弱々しく笑う蓮が、可愛くてセクシーで。 病人なのに、昨日の夜のように可愛い声を上げさせたいと、熱い身体に触れたいと、そんな邪な欲情を心の奥底に飲み込んだ。 「一人で行ける?午前中の会議だけ終わったら、俺帰ってくるから、午後から連れて行こうか?」 蓮は笑顔で首を横に振った。 「大丈夫、一人で行けるから…帰ってこなくて大丈夫だよ。……慶太郎…」 蓮は心配そうな表情の慶太郎を見つめた。 「昨日遅かったのに…朝早くから起こしちゃってごめんね…」 蓮の瞼が重そうに閉じかけていた。 「俺、朝ごはん食べてくるよ。ピーマンの肉詰めいただくね。蓮は、少し寝な」 おでこにキスをして、優しく優しく少しの間髪を指で梳くと。 蓮の瞼が閉じて、小さな寝息が聞こえた。 慶太郎は布団を整えると、音を立てないようにそっと寝室の扉を閉めた。
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