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「…こんなにステキなウェディングドレスを着せてもらって。ステキな結婚パーティーを開いてもらって。お父さんと入場させてもらって。誓いの言葉もこの結婚指輪ももらって。愛してるまでもらえたのに……これ以上もらったら、私…」
行かないでと、言ってしまう…。
「…蓮、お前、俺から離れるつもりなの?」
「違う…」
「また、すり抜けて行くの?」
「違う!」
「何が違うんだよ?離れるってなんだよ?」
「慶太郎はもうすぐオーストラリアに行っちゃうじゃない!」
ハラハラも期待も会場から消えた。
慶太郎の想いに、蓮の想いに。
ただ、息を飲んで見守っていた。
オーストラリア。
この言葉に、この場をどう収拾したものかと。
ただ一人、浜野だけが焦っていた。
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