第1章 出会い

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 猫はおれの前にちょこんと座り、にゃあ、と一声鳴いた。おれの唐揚げをじっと見ている。 「おまえもひとりぼっちなのか。少し分けてやるから、一緒に食べよう」  おれは唐揚げの衣をはがし、肉を小さくちぎって手のひらに載せ、猫の前に近づけた。猫はくんくんと匂いを嗅ぎ、むしゃむしゃとうまそうに食べた。  あっという間に食べ終わって舌なめずりをすると、猫はまたおれの方を物欲しげにじっと見ている。 「なんだ、もっと食べたいのか」  にゃあにゃあ、と猫は二声鳴いて答えた。唐揚げをもう一つ取りだして、肉をちぎってやると、猫はまたうまそうに食べた。 「これでもうおしまいだ。じゃあまたな」  おれは立ち上がって去ろうとした。だがふと後ろを見ると、猫はあとからついてくる。 「おい、ついてくるなよ。明日また買ってきてやるから」  すると猫はまた、にゃあ、と一声鳴いて、公園の植え込みの中へ戻っていった。
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