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一花は、俺と暮らす生活に最初は少し戸惑っていたようだけど、時が経つにつれ次第に慣れてきたようだった。
それと同時に、俺の生活もずいぶん変わっていった。
予備校から帰ってくると、毎日一花が夕食の用意をして待っててくれる。
一人暮らしで、何も入っていなかった冷蔵庫は食の宝庫と化していた。
「新、予備校お疲れ様」
一花は俺が予備校から帰ってくると、毎日決まって出迎えてくれる。
「今日のメニューは、ミートスパゲッティーとミネストローネだよ」
玄関を開けた途端に香ってくる食欲をそそる匂いに、俺はいつも感激する。飯を作って待っててくれるなんて最高だ。
そして、出迎えてくれる一花の笑顔が何より俺の癒しだった。
一花が待っててくれると思うと、何故か予備校も苦にならない。いつもと変わらない日々のはずなのに、何かが違って見えた。それ程一花が与えてくれる力は俺にとってとてつもなく大きなものだった。
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