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「芹沢。来月一日から戻れな」
「え?」
今月はあと四日。
「もう、SIINAでの仕事はないだろ」
「はい……」
少し、名残惜しく感じた。
伊織と再会し、結婚までこぎつけることが出来たのは、SIINAでの三か月があったお陰だ。
だが、SIINAは事実上T&Nに吸収される。
俺も、SIINAの社員も、今のままではいられない。
「これまで通り、SIINAに関してはお前に任せる」
「はい」
「SIINA関係が片付いたら、辞令がある。今以上に忙しくなるから、新婚生活を落ち着かせておけよ」
「辞令……ですか?」
経営戦略部には俺を含めた三人の主任がいる。その上は部長。部長の退職まで、あと十年はある。それ以前に、年上の先輩主任を差し置いて、二十代の俺が部長など、あり得ない。
部署替え……か?
考えたこともなかった。
「どこに飛ばされるんですか?」
「まだナイショ」と、俺の心配を面白がるように、蒼さんがニッコリ笑って言った。
「気になってミスするかも」
「俺を脅すか」
「頼んでるんです」
仕方がない、と言いた気に、蒼さんがため息をつく。
「新設するT&N経営戦略本部の発足メンバーに入れ」
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