Mission 2 アプローチ

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 俺はシャワーを浴びて、髭を剃り、髪を整えた。まだ少し身体がだるかったが、大したことはなかった。  伊織が帰ってから二時間。  俺はスマホを睨みつけていた。  くそっ……待つのは性に合わねぇ――。  俺は着信履歴の一番上の番号に発信した。呼び出し音が五回鳴って、伊織の声が聞こえた。 『はい』 「遅くね?」  俺は挨拶なしで言った。電話の向こうで伊織のため息が聞こえた。 『寝てなよ』 「腹減った」 『冷蔵庫に缶詰入ってる』  俺は冷蔵庫を開けた。桃の缶詰とみかんの缶詰とパイナップルの缶詰が並んでいる。 「いつ来んだよ」と言いながら、俺は桃の缶詰を手に取った。 『昼までには行くから』 「おせぇーよ」  缶詰の蓋を取る。 『元気そうじゃない。私、行く必要ある?』  やべっ――! 「いお――」 『大人しく寝てなさい!』  一方的に電話が切れた。    はぁぁぁーーー。  俺は息を吐きつくして、立ち上がった。  部屋を出ようとスニーカーを履いて、また脱いだ。  寝室に戻り、本棚から何冊かの本を抜き、ベッドの下の箱に入れた。  部屋を見回し、駅へと向かった。  焦らずに、ゆっくりと伊織を手に入れるつもりだった。けれど、いざチャンスがくると浮足立つ。四年間、封印してきた感情が溢れだす。  今度こそ、伊織を手に入れる――。
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