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翌日。
木島が自首をした。
俺と伊織は明け方までT&N観光の伊織のオフィスにいた。Themisを使って木島に攻撃されたT&Nのネットワークの修復をするために。
だから、木島の自首を知ったのは、昼を過ぎてから。
俺と伊織のスマホが一斉に鳴り出し、鳴り続け、仕方なしに起きた。
築島夫妻からだった。
急いで着替えて、SIINAに向かった。
俺たちが着いた時、社長室には蓮さんと綾香さん、蒼さんと咲さんが揃っていた。
俺も伊織も、まだ昨夜の一件を報告していなかった。だから、俺たち以外にしてみれば、木島の自首を警察から知らされた四人には、状況が掴めなくても無理はなかった。
俺と伊織は、木島に偽の情報を掴ませたところから昨夜の決着までを報告した。
「木島は自分の犯罪の証拠を持っていたらしい」と、蒼さんが言った。
「PCは完全に破壊したのよね?」と、咲さんが聞いた。
伊織が頷く。
「木島の使ったネット回線ごと破壊したので、一度でもその回線を使ったことのあるPCは全て再起不能になったはずです」
「なら、USBなりディスクなりに保管していた何か、が証拠になったのね」
「けど、情報売買に関しては被害届も出していないのに、逮捕出来るんですか?」
木島の自首を聞いてから疑問に思っていた。SIINAはこの事実を伏せておきたかった。だからこそ、伊織が調査に送り込まれたのだから。
「逮捕出来ないから、被害届を出すかと問い合わせがあったんだよ」と、蓮さん。
「被害者がいなければ、木島が加害者になることはないからね」
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