Mission 23 決着

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 蒼さんが紅茶のペットボトルの口を開けて、咲さんに手渡した。 「情報を盗まれていたことが公になったら、笑いものになるのはSIINAだろ」  紳士だ、と思った。  俺は伊織に缶を渡しただけ。  自己嫌悪に陥るのは帰ってからにしよう、とため息を我慢した。 「こちらから公表してはどうでしょう」と、蓮さんが言った。 「こちらから?」 「はい。全ては我々の計画だったと公表するんです。SIINAは情報漏洩に気がつき、以前から業務提携の協議を進めていたT&N開発の協力を得て、犯人の特定と証拠を集めた」  蓮さんの言葉を、蒼さんが繋ぐ。 「そして、追い詰められた犯人は自首。事件の公表に至った」  蓮さんが頷く。 「事件と業務提携は全く別物だが、それによって我々の結束は固まったと印象付けられたら、好感を得られますね」  恐れ入る。  二人とも俺と五つ・六つしか違わないのに、まるで雲の上の人だ。 「笠原さんは、それでいいの?」  綾香さんが聞いた。 「事件を公表してしまったら、木島は犯罪者になってしまうわ」  伊織も同じことを心配しているのだろう。さっきから口を開こうとしない。 「それは……大丈夫です」  笠原さんが穏やかに微笑んだ。 「木島がそれを望むのなら、私は待つだけですから」  ちょっと、相当恥ずかしい言い方をすれば、俺は笠原さんが聖母マリアのように見えた。
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