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伊織は気持ちのない相手と寝るような女じゃない。
まして、二股なんてあり得ない。
それは確信があった。
伊織はこの翌日、俺の腕の中にいた。
つまり、社長とはそういう関係ではないのだろう。
じゃあ……どういう関係だ……?
画像の伊織は職場では見せない安心しきった表情で、社長と向かい合っている。部屋に入って行く時も、何のためらいも緊張もない様子。
一体、どうなっている……?
『私は圭を信頼してる』
俺も伊織を信頼している。
『だからと言って全てを共有することは不可能なの』
本当にそうなのか?
俺はネットから支払いを済ませ、PCを閉じた。
シャワーを浴びて、ベッドに横たわる。微かに、伊織の香りを感じた。目を閉じると、昨夜の彼女の感触が思い出された。
言葉にしないだけで、伊織が俺を好きなのは確かだ。
じゃあ、社長は……?
伊織は社長に誘われてSIINAに入ったと言っていた。
けど、あれだけの資格を持っていれば、就職先は好きに選べたはずだ。
それに、履歴書にも書かなかった俺の保有資格を知っていた。
どうして……。
伊織は俺に、何を隠している……?
そんなことをぐるぐると考えながら、俺は眠りについた。
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