Mission 4 疑惑

17/17
2190人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
 伊織は気持ちのない相手と寝るような女じゃない。  まして、二股なんてあり得ない。  それは確信があった。  伊織はこの翌日、俺の腕の中にいた。  つまり、社長とはそういう関係ではないのだろう。  じゃあ……どういう関係だ……?  画像の伊織は職場では見せない安心しきった表情で、社長と向かい合っている。部屋に入って行く時も、何のためらいも緊張もない様子。  一体、どうなっている……? 『私は圭を信頼してる』  俺も伊織を信頼している。 『だからと言って全てを共有することは不可能なの』  本当にそうなのか?  俺はネットから支払いを済ませ、PCを閉じた。  シャワーを浴びて、ベッドに横たわる。微かに、伊織の香りを感じた。目を閉じると、昨夜の彼女の感触が思い出された。  言葉にしないだけで、伊織が俺を好きなのは確かだ。  じゃあ、社長は……?  伊織は社長に誘われてSIINAに入ったと言っていた。  けど、あれだけの資格を持っていれば、就職先は好きに選べたはずだ。  それに、履歴書にも書かなかった俺の保有資格を知っていた。  どうして……。  伊織は俺に、何を隠している……?  そんなことをぐるぐると考えながら、俺は眠りについた。
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!