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圭の誤解を解きたくて呼んだのに、こじれている。これ以上、彼を不機嫌にさせたくなかった。
「社長、伊織とどういう関係ですか?」
圭が蓮兄を正面から睨みつけて、言った。
「兄妹」
蓮兄は待ってましたと言わんばかりに、ニッコリ笑った。
それを聞いた圭が、ポカンと口を開けてパチパチと瞬きをした。
「きょう……だい……?」
「そ、伊織は俺の妹。ちゃんと血も繋がってる」
圭の驚きように満足したようで、蓮兄は声を上げて笑い出した。
「はははははっっっ……! すげー間抜け面!!」
「蓮兄!」
「いや……、ないだろ! あの家にはいつも伊織だけで――」
「ま、座れよ。伊織、ビールちょうだい」
私は蓮兄が買ってきたビールを冷蔵庫に入れ、冷やしてあったビールを三本出した。テーブルに置く。
圭は戸惑いながら、蓮兄の正面に座った。
「俺もあの家で暮らしてたら、お前の幼馴染になってたんだろうな」と言いながら、蓮兄が栓を抜く。
「本当なんですか?」
蓮兄に勧められて、圭もビールに手を伸ばす。
「本当だよ。正真正銘、俺と伊織は両親とも同じ兄妹。けど、お前が知らなくても無理はないんだよ。伊織でさえ、十歳くらいまで俺の存在を知らなかったんだから」
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