Mission 5 探り合い

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「腹減った」 「私はお弁当が――」  PCをシャットアウトしようとマウスを動かした時、ほんの一瞬だけフリーズした。資料室(ここ)のPCはデータ管理用だから、SHIINAの創立当時から同じものを使っている。不自由はないとはいえ古いことは確かだから、たまに動きが鈍くなってもおかしくないのかもしれない。  けれど、私がそれに気がついたのは初めてだった。  反射的に壁の時計を見た。  十二時五分十秒。  バックアップシステムが起動した……?  私はもう一度マウスを動かした。その瞬間、ディスプレイが真っ暗になった。PC自体はカリカリと微かな音を立てている。  まさか――。 「どうした? 伊織」  圭がディスプレイを覗き込む。真っ暗だ。今度は私を見る。 「伊織?」  私も圭をじっと見た。けれど、眼球が圭の姿を映しているだけで、私の脳に彼の姿はない。  嫌な予感しかなかった。  そして、私の嫌の予感はよく当たる。  クラッキング――!  迷っている時間はなかった。 「圭、答えて。あなたはSHIINAの敵?」 「は?」 「私はSHIINAを守りたいの。だから、圭がSHIINA(こちら側)の人間でないのなら、私は容赦なく潰すわ」  緊張で、心臓が速く大きく飛び跳ねる。それを圭に悟られないように、私は静かにゆっくりと呼吸を整える。 「ホッとしたよ。おまえと同じ側で」  圭のその言葉の真偽を確かめる時間はなかった。 「協力する気があるなら、時間を計って」と言いながら、私はスカートのポケットからUSBメモリを二つ出した。 「ちょうど三分。一秒も遅れずに。十秒前からカウントして」 「は?」 「説明は後よ。三、二、一!」  私はUSBメモリをPCに差し込んだ。圭は焦って腕時計を見た。
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