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「華村先生」
少し高い声に弾かれて喫煙所の入り口を振り返ると、さっきの視線合わない系男子(仮)がこちらをすごい形相で睨んでいた。
何気ない風に、冴島が一歩身を引く。
心臓が早鐘を打ちながら、脳内の妄想が処理しきれない。
体育倉庫もエロい。
かび臭い感じなんか逆に興奮するんじゃないか。
縄跳びとか、マットとか、全裸で跳び箱に股間擦りつけさせられたりとか。あの粗い布に擦り付けられた亀頭が、赤く赤く充血する。
「せんせ、いたい、も、やだあ」
純情無自覚潜在ビッチはポロポロ涙を滴らせながら跳び箱の角に自分の先走りを塗りたくる。布は先走りを吸い込み色を変える。
「そういいながら君の腰は止まらないようだけど」
なんて、冴島ドS様は言葉責めの手を緩めない。
……言葉なのに手を緩めないっておかしくない?
「華村先生」
「あ、お?」
いきなり手を取られて、自分の鼻先にある視線と目がかち合った。
冴島のクラスの、アイツだ。
今日も誤字を指摘してきた、視線合わない系。
「頭、痛いんで保健室、連れてってくれませんか」
その目が自分を見た。
頭が痛いなんて言った割に、怒り狂った猛獣のような目をしている。不思議なくらい、不自然なくらい獰猛で、強い目。
「あ、あぁ、わかった」
勢いに押し切られてなおざりな返事をすると、視線合わない系男子は生硬な眼差しで朔良を見、冴島を一瞥して喫煙所を出る。
その手がまだ、朔良の手首を掴んでいた。
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