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そもそも。
教師なんてなりたいと思ったことはなかった。憎しみすら持っていた職業だった。
幼い頃は作家になりたいなんて思っていたし、大学を進学したころは休みがなくたっていい、出版会社に身を置き、将来的には作家の担当になりたかった。
要は文学の産まれるそばに居たかった。
なんていうウツクシイ志は、『一応』とっておく教員免許のために行った教育実習で、覆されてしまった。
その要因のひとつは、思ったよりも生徒を可愛いと思える自分がいたことだった。なんてことないような顔で過ごしながら、その一瞬に生きる子どもたちを、決して厭うてはいない自分がいた。
かつて地獄だと思っていた場所は立場が変われば違って見えた。
もうひとつは、教育実習先での未知との遭遇だった。こっちの方が日常生活への影響力が大きかった。
それは元男子校という腐女子の楽園。
男子9に対し女子1という比率は逆ハーレム的な妄想を抱かせるものと思っていた。
それが、だ。
実際の女子在校生のほとんどが。
「ホモぷまい」
だった。
―ーーなんだそれ。
そう思っていたのも束の間で、彼女らの想像の端に触れただけで自分の中にあった何かが開花し、教育実習から戻ったころには文学小説の悉くに腐ィルターがかかった。
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