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男子校だから当たり前のことなんだけど、右を見ても左を見ても男子しかいない。
バラエティに富んだ思春期の男子が集まってるだけあって、生徒によっては『これでチンコついてるとか世の中、間違ってるよな』と思わざるを得ないような生徒もいる。
目の前をいかり肩で歩いてくる小松崎眞澄もそうだった。
「華村先生」
「なんでしょう」
2年生が1年生のフロアに来ること自体珍しい。だが、朔良を呼びつけることはもっと珍しい。
色素が足りないんじゃないかと思うほど白い肌に、大きく、茶色味帯びた意志の強そうな目。短い髪も少し茶色味掛かっている。
きっと睨まれると自分の汚い部分を見透かされてる気がして怖い。
「先生の部の部長、どうにかしてください」
「俺の部の部長?」
紅い唇が尖り気味に言葉を紡ぐ。
―ーーいきなり来て何だ。
教員は部活動には所属していない。
しいて言えば無理やり任命されて、ボランティア程度の賃金で顧問は持っているが。
「陸上部の橘先輩です」
「あぁ、朝、あった」
「そりゃそうですよ、先生は昨日無断外泊で橘先輩は自宅通学ですから」
―ーーいちいち険がある。怖い怖い。
なんて、顔には絶対出さない。
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