妄想教師の作り方

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 実家に荷物を取りに帰って、そのまま実家に泊まったことを『無断外泊』と言われると何とも言えない気持ちになる。  というより、たぶん小松崎が言うから淫靡な雰囲気があるのだろう。  「そうか、生徒会は寮全体の管理もしているんだっけ。ごめん、なんか迷惑かけたみたいで」  生徒の主体性を重んじるといっても、ちょっと生徒に負担がかかりすぎるような気がする。主に生徒会に。  でもまあ、そんなことを新任がいっても仕方ない。責任者にでもならない限り現状は変わらない。  とりあえず、人好きのする笑顔で誤魔化す。  「笑ってもごまかされません。」  誤魔化しきらんかった。  「で、橘がどうしたの」  これ以上ひきとめられて、この悪意のないまっすぐな眸に見られていたら妄想が暴発して次の空き時間に片づけたかった仕事が片付かなそうでとりあえず話を進める。  ーーー笑えば、随分印象が変わりそうなのに。  真っ白な肌の中にある真っ赤な唇。  これと同じ色に頬が染まる瞬間なんてあるのだろうか。  「部費の申請が出ていません」  「……それだけのことをわざわざ?」    本人に言えと思いながら、小松崎の目に力がこもるのを感じて慌てる。  「……本人には啓太先輩が言ってくれてるんです。だから、俺は、顧問の先生からも言ってもらおうと」  力がこもった目はすっと伏せられて、小さなさな声が口の中で呟く。     
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