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―――ああ、あるんだ。その頬が朱に染まる瞬間が。
恋する乙女というか、恥じらいというか。若さというか初心さを感じた。自分には多分もうない。小松崎は不動の受。後で啓太先輩のご尊顔を確認しておこう。
「わかった。俺からも言っておくよ。煩わせて悪かったって啓太にも言っといて」
そういって笑うと、小松崎は目を細めて、訝しげな顔をする。
「先生ってあんまり先生らしくないですね」
平然とそんなことを言えるんだから最近の高校生って怖い。
「頭の中で啓太先輩と君がクンズホグレツしてるからだろ」なんて言ったらすごい嫌悪の顔で見られるんだろうことは、よくわかっていた。
「そうか?よそから来たせいだろ」
腐に目覚める前だったら違うかもしれない。
目覚めたら傍目にもわかるものなのか。
それとも、小松崎が特殊なのか。
「あ」
始業前の予鈴に小松崎がちいさく声を上げる。
それがまた情事の色を含んでいるように聞こえてしまってよくないと思いつつも脳内展開がハッテンする。
「じゃあ、よろしくお願いします」
そう言って彼は華奢な体で走り出す。
ほそっこくって未発達な感じがまた何とも言えない。
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