僕の家

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僕の家

最近、と言ってもこの2年以内の話ですが、マンションに引っ越しました。色々あって僕は友人とルームシェアしています。再就職した仕事は勤務時間が短いものの残業が多く、日を跨ぐこともしばしばです。 そうなるとたかが数階まででも階段を上るのが億劫になるんですよね。大抵日を跨ぐとマンションに一機しかないエレベーターを使ってしまいます。 一階で待っていると時間帯的に重なるのでしょうか、しばしば同じ女性に会います。 彼女はいつも清潔感のある雰囲気で夏には空色のワンピース、秋口には薄い水色のシャツに白いハイウェストパンツ、ブルーのボリューミーなマフラーなどいつでも爽やかな青色を纏っています。 そして僕に問うのです。 「下に行きますが、」 鮮やかな青色が良く似合う笑顔でいつも問うてくれます。 「いえ、結構です。」 僕が言うと穏やかな会釈で扉を閉じます。彼女をのせた箱が下へと、見えなくなります。 すぐにエレベーターが上から降下してきます。 僕はそれに乗っていつも思うのです。 ありがちな話って言うのは案外日常に溢れているのだなぁと。
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