14人が本棚に入れています
本棚に追加
隙間の話
今日は一日家にいたので、特に不思議なこととかはありませんでした。
なので、「その日あったことを書く」のルールを最初っから壊そうと思います。
カイダンクに、『隙間』という話を投稿させていただきました。
あれには元ネタがあります。
僕が小学生だった時の話。
その頃僕はまだ大阪に住んでいて、大阪も中心から離れるとだいぶ下町っぽい感じが残ってます。
僕はそう言う下町っぽいところに生まれて、小5で祖母のお寺に引っ越しました。
まあ、そんな生い立ちはどうでもいいんですが。
とにかく小学生のころ。
僕の住んでいた町は小さな工場が多くて、毎日どこかで機械の動く音がしていた。
工場の人はいろんな人がいて、でも、子供にやさしかったから、僕はよく、工場の敷地で勝手に遊んでた。
夏の暑い日その日も工場で遊んでて、工場のプレハブ倉庫とコンクリ壁の間に、毛の生えた真っ黒な、尻尾がするりと入って行くのを見た。
大方猫だろうと思って、僕はその細い隙間を覗き込んだ。
小学生の僕の手が、漸く入るくらいの隙間は真っ暗だった。
じっと見ていたら、だんだん、誰かに見られている気がしてきて、僕は振り向いた。
誰もいない。
僕は隙間に目を戻した。
いた。
視線の正体は隙間の中にいた。
まんまるい、人間の目が、僕を見ていた。
目を逸らせずに、じっとその目を見ていた。
まんまる目には瞼もなさそうに思えた。
じっと、見ている。
見ている。
見ている。
どうやってその目を逸らしたのか忘れたけれど、気が付いたら僕は家に帰っていました。
家に帰った僕を見るなり、弟は顔面蒼白にして嘔吐しました。
あれは何だったのか。
最初のコメントを投稿しよう!