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第五章「お」
「同じストラップ、買おっか……?」
それがきっと返事の代わりだった。
修学旅行の集団行動では、横山優理子と同じグループにはなれなかった。
でも、それはそれで良かったのかもしれない。
あの駅前での告白以来、なんだか、二人の間には距離が出来てしまった。
中学生の時と同じ失敗をしてしまったんじゃないかと、僕は不安に苛まされた。避けてるというわけではないのだが、自分自身も彼女に対して少し身構えてしまう。二人で話す頻度は明らかに減っていた。
その日は、クラス全体での清水寺観光だった。清水寺は荘厳で、お寺の庭も、建物も綺麗だった。歴史を感じさせる空気に、グループのメンバーは大いに盛り上がり、携帯での集合写真もいっぱい撮った。
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