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終章「かきくけこ……わをん」
そうして始まった二人だった。
今、僕の眼の前には、大人になった横山優理子がいる。
二人はあれから大学生になり、卒業し、仕事に就いた。この五年間、二人の間には楽しいことも、苦しいこともあった。嬉しいイベントもあれば、困った事件もあった。もちろん何度もケンカもしたけれど、二人だったから一緒に色々なことを乗り越えてこれたのだと思っている。
「ちょっといいかな?」
僕はポケットから小さなケースを取り出す。
「うん。いいよ」
彼女はもう、何を言われようとしているのか分かっているのだろう。笑顔で小首を傾げて見せた。
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