第二章「い」

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第二章「い」

「いつもここに居るよね?」  突然、コンビニエンスストアで声を掛けられ、横を見ると、横山優理子だった。  下校時、自宅への帰路の途上で、僕は大通り沿いのコンビニによく立ち寄る。そこで僕は、時々、雑誌の立ち読みをしている。本当はコンビニで立ち読みをするのは良くないのだが、高校生の小遣いでは毎週雑誌を何冊も買う余裕はない。  幸いにも、このコンビニは、幼稚園以来の親友の両親が経営しており、いろいろ大目に見てもらえるところがある。コンビニの上の階に、その親友の自宅があった。  僕が音楽雑誌のクラシック特集を読んでいると、学校帰りの横山優理子が隣に現れたのだ。  びっくりした。  「消しゴム拾った事件」をきっかけとして、僕たちは、ほんの少しくらいは話すようになっていた。最初は頭をペコリとさげて「ども」と言ったり、去り際に「じゃ」と言うくらいだったが、徐々に、朝に右手をあげて「横山さん、おはよう」と言ったり、帰り際に「じゃあ、また明日」と言うくらいになった。今では「次の授業の部屋、どこだっけ?」や、「今日寒いね」「そうだね」くらいは話せるようになっている。
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